正直なところ以前から疑問に感じていた光景があります。
カフェやオープンスペースで取引先や社内のMTGをオンラインでおこなっている光景です。
転職相談と思われる会話の中で年収や業務内容が聞こえてきたり、WEB施策やサイト改修の進捗が周囲に聞こえる声量で話されていたりすると、「その内容、本当にここで話して大丈夫なのか」と感じてしまいます。
今回はいつもWorXUPで取り上げるようなニュースやテクノロジートレンドとは少し異なり、日常のビジネスシーンで見かける光景について考えてみたいと思います。
カフェやオープンスペースで見かける“業務会議あるある”
皆さんも一度はこうした場面に遭遇したことがあるのではないでしょうか。
カフェやオープンスペースでは次のような会話が聞こえてくることがあります。
1. 恐らく転職エージェントであろう職種:転職相談や採用面談のような会話
現在の年収、希望年収、職務経歴、転職理由、選考状況、業務内容などが、周囲に聞こえる声量で話されているケース。
2. 恐らくWEBマーケティング・制作関係であろう職種:サイト改修や広告施策のような会話
広告成果、CV数、CPA、問い合わせ数、LPの改善、フォーム改修、SEO施策、来月のキャンペーン内容などが、進捗共有として話されているケース。
3. 恐らく営業・コンサルティング関係であろう職種:商談や提案進捗のような会話
顧客の課題、提案内容、見積金額、契約条件、競合比較、受注見込み、失注理由などが、打ち合わせや社内報告のような形で話されているケース。
4. 恐らく人事・労務関係であろう職種:社内の人員や評価に関する会話
退職予定、異動、採用状況、評価、勤怠、休職、社内トラブルなど、かなりセンシティブな内容が話されているケース。
5. 恐らくカスタマーサポート・運用担当であろう職種:顧客対応やトラブル対応のような会話
クレーム内容、障害対応、返金対応、顧客からの問い合わせ内容、社内での対応方針、原因調査の進捗などが、確認や報告として話されているケース。
さすがに個人情報が丸々出てくるような場面に遭遇した事はありませんが固有名詞が出てくることは多々あります。
以前からこのような状況に遭遇するたびに強い違和感を覚えていました。
外出先で急ぎのオンライン会議に参加すること自体は今の働き方では珍しくありません。
問題はそこで話している内容です。
自社の事業内容、取引先との進捗、広告成果、サイト改修、契約条件、採用・転職に関わる情報などを、周囲に聞こえる場所で話してしまうことは、場合によってはかなり危うい行為です。
本人は「社名は出していない」「個人名は伏せている」と考えているのかもしれません。
ビジネス上の情報は名前が出ていなくても数字、業界、課題、進捗、施策内容の断片だけで十分に意味を持ちます。
その情報を外部に聞かれる可能性がある場所で話してしまうこと自体が戦略面やセキュリティ面でのリスクの発生、またビジネスパーソンとしての意識が低いと見られてしまう可能性があります。
また、その場所でその内容を話してしまうことに危うさを感じなくなっている。その感覚の麻痺こそが問題なのではないでしょうか。
名前を出していなくても情報は漏れている
情報漏洩というと顧客リストの流出、メールの誤送信、ファイル共有のミス、不正アクセスなどを思い浮かべる人が多いかもしれません。
しかし情報はもっと日常的な場面からも漏れます。
転職相談の場面であれば、年収、希望条件、現在の業務内容、転職理由、選考状況などが会話に含まれることがあります。
WEB施策やサイト改修の会議であれば、広告成果、CV数、サイトの課題、改修予定、公開前の施策、クライアントの社内事情などが自然と出てくることもあります。
これらは会社名や個人名が出ていなければ安全というものでは無いと思います。
特に同じ業界の人、近い職種の人、広告や制作に関わっている人が聞けば会話の断片から状況を推測できてしまう可能性があります。
「どこの会社かは言っていない」
「名前は出していない」
「具体的な資料を見せているわけではない」
そうした感覚で安心してしまうのは少し危ういのではないでしょうか。
ビジネス上の情報は単体では意味が薄くても組み合わさることで情報漏洩のリスクに繋がります。
その会議、相手は“そこで話されること”を了承しているのか
そしてもう一つ考えたいのは会議の相手側の視点です。
自分の年収や転職理由を担当者がカフェで話していたらどう感じるでしょうか。
自社の広告成果やサイト改修の課題を外部パートナーがオープンスペースで話していたらどう思うでしょうか。
少なくともWorXUPの考えではそのような担当者に重要な情報を預けたいとは思いません。
スキルや実績以前に「この人は情報の扱い方が雑、配慮が足りないのではないか」と感じてしまいます。
もしかするとこのオンラインの時代に少し厳しい見方かもしれません。
しかしビジネスにおいて情報を預かる立場の人間であれば相手がどう感じるかまで想像する必要があります。
本人が「大丈夫」と思っているかどうかではありません。
相手が「そこで話されても問題ない」と思えるかどうかです。
その了承がないまま相手の情報を第三者に聞こえる可能性がある場所で話してしまうことはやはり慎重さに欠ける行為だと思います。
オンライン会議の場所選びは単なる利便性の問題ではありません。
その人が相手の情報をどの程度大切に扱っているかを映すものでもあります。
ここを考えずに会議をしてしまうことこそが情報管理以前に信頼関係の問題としてはかなり危ういポイントだと思います。
“情報に気を付けている”ならその会議は核心に触れられているのか
仮にそうした状況下でも「個人情報や機密情報などには十分に気を付けている」ことを前提とします。
確かに個人名や会社名、具体的な金額、顧客名、未公開情報などを出さないようにしているケースもあるでしょう。
しかしそこでまた別の疑問が残ります。
その会議は本当に核心に触れられているのでしょうか。
取引先や社内での会議において、特に複数名が絡む案件やプロジェクトなどの場合、相手の理解を促す場合には具体名や事例、詳細を話す必要がでてきます。
例えばWEB施策などの話しであれば、どの商品(名)がどのメニュー(媒体名など)で、という文脈は必ず紐づいてきます。
ここがイコール、特定できる情報に繋がってきてしまいます。
外部に聞かれても分からないように抽象化しすぎると今度は会議相手にとっても抽象的な話になってしまいます。
つまり、情報漏洩を気にして具体的な内容を避けすぎれば相手の理解が深まらず、結果として信頼関係を損なう可能性も出てきてしまうということです。
個室を取るべき会議は思っているより多いのではないか
もちろんすべてのオンライン会議を個室で行うべきだと言いたいわけではありません。
また各企業ごとに基準や方針も異なるかと思います。
ただしこれまで記述してきたとおり、ビジネスパーソンとして取引先含めて相手のことを考えるのであれば本来はもっとクローズな場での対応も必要な場面も多いのではないかと考えます。
- 採用面談、転職相談
- 年収、待遇、職務経歴に関する話
- 顧客名や取引先名が出る商談や報告
- 契約条件、見積金額、料金交渉
- 広告成果、CV数、CPAなどの数値共有
- サイト改修、LP改善、未公開キャンペーン
- クライアントの課題や社内事情
- 人事評価、退職、トラブル対応
- クレーム、事故、障害対応
また繰り返しとなりますが少なくとも自分が顧客側だったらどう感じるかを考えながら環境を構築していくことが重要なのでは無いかと思います。
最後に
カフェやオープンスペースでのオンライン会議は今の働き方において完全に避けられるものではありません。
しかし場所を選ばずに働ける時代だからこそ、都度適切な判断と対応が求められます。
何をどこで話すか。
誰に聞こえる可能性があるか。
相手の情報をどう扱っているか。
そうした日常の判断の積み重ねがビジネスパーソンとしての信用につながります。
「その会議、本当にそこで話して大丈夫ですか?」
この問いはカフェで会議をする人だけに向けたものではありません。
働く場所が自由になった今、すべてのビジネスパーソンが一度は考えるべき問いではないでしょうか。

